桃の花を溺れるほどに愛してる
「こちらに寄るのが急でしたので、何もご用意ができていません……申し訳ございません。次回また改めて土産モノを持って伺いたいと思います」

「いえいえ、気にしないでちょうだい。それよりもほら、あがって?お茶とお菓子を用意するわ」

「お邪魔致します。……あっ、ありがとうございます。でも気は使わなくても大丈夫ですよっ」

「いいのよ~、気にしないで」


 おお……。なんていうか、こういうところはまともだ。

 さっきまでの態度とは一変していて、5つ年上であることに納得……したかもしれない。


「母さん、お茶とかいらないから。用が済んだらすぐに帰ってもらうし」

「あら、そうなの?ごゆっくりとしていけばいいのに~」

「それはまた今度!ね?」

「はいはい、分かったわ」


 母さんはぺこりと小さく頭を下げた後、奥の台所へと消えていった。


「さ・て・と……。早速だけど、監視カメラとか盗聴器とか、ぜんぶ、取り外してくれる?」

「はい……」
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