桃の花を溺れるほどに愛してる
 私がにっこりと微笑んで“あげる”と、春人は重い足を引きずるようにして2階へとのぼり、私の部屋の前まで一直線――って!


「ちょっと待った!」

「へっ?!」


 コイツが1ミリも迷いもせず、一直線に私の部屋の前までやって来れたのは、“ストーカーだから”という理由で納得しているので、あえて何も言わないとして……。

 私の部屋の中、散らかってなかったっけ?!

 ストーカーだろうが恋人だろうかはこの際ひとまとめにするとして、とにかくっ、他の人様に見せれるような部屋だっけ?!


「桃花さん?」

「ここでちょっと待ってなさい!部屋、片付けてくるから……!」

「――ああ。大丈夫ですよ」


 刹那、春人はにっこりと微笑む。

 ぐぬぬ……そのザ・イケメン★スマイルはやめなさいよね……!なんだか調子が狂うじゃないの!このバカッ!


「何が大丈夫なわけ……?」

「僕、今の桃花さんの部屋のすべて、把握していますので!昨夜にオヤツにと食べたお菓子の袋が机の上に乗っかっていたり、ベッドの上にはウサギの下着が散乱し…」

「やめてぇぇぇえっ!」


 なっ……ななななななっ、ななっ、なんですとぉーっ?!

 こやつ!ストーカーなうえに変態だったのか?!なんで私の下着の模様まで分かっちゃってるのよ……?!
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