桃の花を溺れるほどに愛してる
「うーん、ちょっとね」

「なになに?ひょっとして好きな人でも出来た?」

「なんでそうなる」

「はっ!もしかして彼氏が出来たの?ちょっと紹介しなさいよ!」

「だから、なんでそうなる!」


 京子のヤツめ……。

 いくら自分に彼氏がいてラブラブだからって、私にまで恋愛事情を求めてくるとは!ちょっと彼氏に毒されすぎなんじゃないの?!


「今度紹介してねん?桃花♪」

「私のどの言葉を聞いて彼氏がいるということになったの?!」

「えっ?違うの?」


 そこでようやく、私が恋愛事情のことでぼーっとしていたんじゃないと気付いたのか、京子は顔を曇らせた。


「何かあったの?」


 心配そうに聞いてくる京子。まぁ、話を聞いてくれるだけでも十分にありがたいし、話すだけ話してみようかな。

 そこで私は、つねに誰かからの視線を感じることを京子に伝えた。


「なにそれ!きもちわるっ!ストーカー?他はないの?無言電話とか……なんかそういうの」

「うーん、無言電話はないなぁ。……あっ、でも、昨日知らないアドレスでメールが届いた」


 ――そう。実は昨日の夜、知らないアドレスでメールが届いていた。
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