桃の花を溺れるほどに愛してる
「ストーカーとの件、大丈夫?」

「あ?」


 あっ。いかん、いかん。思わず心の声を表に出してしまった。

 京子は驚いた顔をしたが、すぐに心配そうな表情を浮かべた。


「……どうしたの?桃花」

「実はさ~、昨日の夜からストーカーからのラブアタックが激しくて……」


 私はありったけの嫌味をこめて、“ストーカー”という部分を強調した。

 春人のことや、春人と付き合うことに“なってしまった”こと、その春人がストーカー張本人であることは言わなかったけど。

 言ったら言ったで色々とややこしくなりそうだし……別に春人のことを紹介しなくてもいいよね……?


「えーっ!なにそれ?まさか直接家に押しかけてきたとか?!」


 ……確かに家にやってきた、というよりかは私が家に招いたんだけど、それは“押しかけてきた”とは言わないよねぇ……。


「ううん。……その、メールが、ね?大量に……あはは……」


 私は昨日送られてきた春人からのメールの量を思い返し、苦笑いを浮かべながら答えた。

 24件目のメールが届いた後も、春人からのメールは絶えず届いた。ええ、それはもう大量に!

 なんか見知らぬ電話番号から着信もきたけど、今思い返せばアレって春人からだったんだろうなぁ。

 ……ウザイから電話には出なかったけど。
< 41 / 347 >

この作品をシェア

pagetop