桃の花を溺れるほどに愛してる
「ギャー!離れろー!」


 見覚えのあるその人物こと、私に飛び付いてきたその人物は、まごうことなき春人だった……。

 とりあえず春人の顔面にパンチを食らわせる。……すまん、反射的に手がでてしまった。


「うぅ……桃花さんに殴られるなんて、これはこれで嬉しいです……」

「黙れ、変態」


 私と春人のやり取りを、周りの人達は白い目をして眺めている。

 さっきまで「キャー!カッコイイー!」と言っていた女子生徒たちも、白い目をして通り過ぎていく。

 うん。私も春人と関わりがなければ同じように通り過ぎているよ。むしろ警察に突き出しているよ……!


「桃花……この人は?」


 ああ……!京子も若干引いている!顔が引き攣っている……!


「えっと、この人は……」

「はじめまして。桃花さんのご友人ですか?僕は天霧春人と申します」


 なんて紹介しようか悩んでいると、春人はキリッとした表情になり、真面目に自己紹介をした。

 私を差し置いて勝手に自己紹介しやがって……!しかもなんかその真面目な表情がまたカッコイイし……!


「桃花さんの彼氏です」

「は?」


 京子が口をぽかんと開けた。そして、次の瞬間、目をキラキラとさせた。
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