桃の花を溺れるほどに愛してる
「えー？！桃花の彼氏ぃー？！マジでー？！はっ、はじめまして！私は桃花の親友の沢田京子といいます～っ！」


　うっわ。京子のヤツ、めっちゃテンションがあがってる……。

　そんな京子に対し、春人はニコニコと微笑んで大人の対応をしているけど……やっぱりこういう時はちゃんと大人なんだと安心する。


「ちょっと～！桃花～！どこでこんなイケメンと知り合ったのよー？」


　「昨日です」とは言ったら言ったでややこしくなるだろうから、言えない……ので、とりあえず適当に笑ってごまかしておいた。


「よければ車に乗っていきませんか？家まで送りますよ」

「うわぁい！乗ります～♪」

「えっ？！ちょ、ちょっと……」


　春人は相変わらずニコニコと微笑んだまま、赤い色をした高級っぽい車のドアを開けた。

　それになんら疑いもせず、意気揚々と乗り込む京子。

　そんな簡単に乗り込んで、大丈夫なものなんだろうか……。

　そのまま誘拐されて監禁なんてことがあるかもしれないじゃないか……！

　でも、京子だけを乗せるわけにはいかないし、京子と一緒だったら誘拐されないかもしれないし……。

　私は警戒しつつ、何も言わずに車に乗り込んだ。それを見届けた春人は、車のドアを閉める。
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