桃の花を溺れるほどに愛してる
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下校時間になり、いつものように京子と一緒に帰ろうとしたのだが――。
「ごっめーん!私、今日、彼氏と一緒に帰る約束をしているんだっ!」
掌を合わせ、申し訳なさそうに謝ってきた京子に、私は承諾せざる得ない。
京子の彼氏は、同学年のクラスの違う男子生徒だ。直接会話をしたことは無いけれど、京子の話を聴いていると、本当にラブラブなんだなぁーと聴くたびに実感させられる。
「そうなんだ。じゃあ、また明日ね?」
「うん!また明日ねー!」
ぱっと笑顔になった京子は、大きく手を振りながら走るようにして教室を後にした。
……さて。私も帰りますか。自分のカバンを持ち、そそくさと教室を後にする。
教室を出て、校門を出て、いつもと同じ帰り道を歩く。……案の定、誰かからの視線を感じた。
「はぁ……」
無意識のうちにため息が出る。“また”、か。最悪だなぁ……。
半ばはや歩きで帰り道を歩いていると、道の角の奥からやってくる人物と鉢合わせをした。
「えっ」
「あ?」
気が付いた時にはその人物とぶつかっており、私は壮大に尻餅をついた。
「どこ見て歩いとんのやっ!」
ぶつかった人物は怖そうな男性だった。とても大きな声で怒鳴られたかと思いきや、ガシッと胸元を掴み上げられ、そのまま引き寄せられる。
下校時間になり、いつものように京子と一緒に帰ろうとしたのだが――。
「ごっめーん!私、今日、彼氏と一緒に帰る約束をしているんだっ!」
掌を合わせ、申し訳なさそうに謝ってきた京子に、私は承諾せざる得ない。
京子の彼氏は、同学年のクラスの違う男子生徒だ。直接会話をしたことは無いけれど、京子の話を聴いていると、本当にラブラブなんだなぁーと聴くたびに実感させられる。
「そうなんだ。じゃあ、また明日ね?」
「うん!また明日ねー!」
ぱっと笑顔になった京子は、大きく手を振りながら走るようにして教室を後にした。
……さて。私も帰りますか。自分のカバンを持ち、そそくさと教室を後にする。
教室を出て、校門を出て、いつもと同じ帰り道を歩く。……案の定、誰かからの視線を感じた。
「はぁ……」
無意識のうちにため息が出る。“また”、か。最悪だなぁ……。
半ばはや歩きで帰り道を歩いていると、道の角の奥からやってくる人物と鉢合わせをした。
「えっ」
「あ?」
気が付いた時にはその人物とぶつかっており、私は壮大に尻餅をついた。
「どこ見て歩いとんのやっ!」
ぶつかった人物は怖そうな男性だった。とても大きな声で怒鳴られたかと思いきや、ガシッと胸元を掴み上げられ、そのまま引き寄せられる。