赤の鎖
「逃げちゃだめでしょ。ボクだって、探すの苦労するんだから」
「....ごめん」
彼と出会ってから、無意識に『ごめん』と謝るようになった
そんな自分が、どうしようもなく憎くてならない
彼が座っているブランコを揺らす
また、ギィとそれが軋んだ
私も同じように、ブランコを揺らす
自分が、「存在してはならない者」ということを忘れて
景色が歪む。ぐにゃりぐにゃりと
泣いているわけじゃない
ブランコをこいでるから
実際はどうなのか分からないまま、自分自身にそう呟いた
こんなに世界は醜いのに
何故軌道は平行なのだろう
何故歪んでいないのだろう
もっともっと、大きく世界が崩れてしまったらいいのに
これからの自分に待っている未来を想像して、歪む景色をぐっ、と睨んだ