カリス姫の夏
現実を受け入れ落胆していると、私達の会話をじっと見守っていたナイトが、私に声をかけた。
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ナイト
>カリス姫
リアルでの人間関係を築くことが
できるなら
勇気をもって
リアルの世界にも行きなさい
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ナイトの発言に、住人たちは一斉に反発した。
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>マジかよ
この国の管理者なのに
リアル大事にしろって言うのか
なんか裏切られた気分
>サメルーー
リアルに嫌気さしてこの国
作ったんじゃないのかよ
>今さらリアルに行けって
結局ナイトもネットの関係
軽く見てるのか
>ナイトもリアル大事?
ナイト
<違う
私はこの国が一番大事
でもリアルに出たいと思っても
各自の事情で出られない人もいる
出ることができる人は
リアルの人間関係も大切にして
欲しい
それはカリス姫だけではない
みんなも
ネットもリアルの関係ない
人間関係は同じ
世界は広い方がいい
広げられるなら広げよう
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ナイトは?
と、訊いてみたい衝動に駆られた。
あなたはどんな事情を抱えて、なんのためにこの国を作ったのですか?
あなたのリアルはどんな世界なのですか?
傷つかず、傷つけずにリアルの世界を渡り歩く方法はあるのですか?
考えを整理したくて、パソコンの画面をパタンと閉じた。
私のパソコンは感情の無いモーター音を静かに鳴らすだけで、何も答えてはくれなかった。