カリス姫の夏


「わたしね、色々解決しなきゃいけない問題があって……
詳しくは今言えないんだけど、これから北海道に行くの。
帰ったら、またここに来るから。
その時は全部、話すね」


「北海道?すごいね。
うん、待ってる。
で?
あの彼との問題も解決したの?」


みゅーの言葉に、昨日の藍人くんの言葉を思い出した。


「そうだ、みゅーなんで藍人くんに気づいたの?」


「ていうかさ、莉栖花が鈍感過ぎるんだよ。
写真撮られてるかもしれなくって警戒してるって言ってたけど、ぜーんぜん気づいてなかったじゃない。あの子ずっと食堂近くウロウロしてたんだよ。

あんなでっかい目立つ子見逃すようじゃ、写真撮られたって仕方ないね」

と、相変わらず、みゅーは言葉をオブラートに包むといった優しさはないらしい。みゅーは薄目を開けてにらみ、私はごもっともと頭を下げるしかなかった。


「なんかこう、じれったいっていうか、イライラするんだよね、ああいうの。
見てられなくって。
だからさ、私が倒れたのもちょっとは意味あったでしょ。
あのままじゃ、莉栖花気づかずに帰っちゃうとこだったじゃない」

と、みゅーは犯行を正当化するように堂々とした。


いや、そういう問題じゃ……と言い返す隙も見せないみゅーに、私は完敗だった。
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