カリス姫の夏
「最近の若い子は名前憶えずらいんだよね。
ほら、子リスの友達の……あの子。
あの猫みたいね」
と、華子さんは飲み終わったコップを返却口に戻しながら言った。
「猫?
猫ってみゅーのことですか?
なんでみゅーが猫なんです?」
「うちで昔飼ってた猫がさ、みゅーみゅーよく鳴く猫だったのよ。
それ思い出してね」
「へー。
じゃあ、みゅーも猫じゃなくてわたしみたいに子猫って呼べばいいのに」
私の指摘に、華子さんは不敵な笑いを浮かべて答えた。
「あの子はね、子猫って玉じゃないわよ。
猫……大猫よ。
あるいはタヌキかもね。
まっ、いいじゃない。
子リスと猫なんて昔話みたいでさ」
そんな昔話あったかな……と首をひねって考えたが思いつかない。その時、パタパタと足音が近づいてきた。
その足音は食堂の前でぴたりと止まり一瞬、間をおく。食堂のドアが開け放たると、そこには1カ月前と変わらない美しさのさやかさんが、満面の笑みで立っていた。
「莉栖花ちゃん、来てくれたのね」
挨拶しようと立ちあがりかけた私の動きを、椅子のバタンと倒れる音が止めた。見ると藍人くんがひどく動揺して立ちあがり、さやかさんを指差している。
「えっ?
えぇぇー?!
莉栖花さんの知り合いって……
えぇーー?!!」
さやかさんがいくら美人だからってリアクション大きすぎだよ……と、ちょっぴりジェラシーをこめて藍人くんに冷たい視線を送り
「さやかさん、お久しぶりです」
と頭を下げた。
さやかさんは心からホッとしたように私を見た。
「でも、よかったわ、来てくれて。
会いたかったのよ。
色々説明したいこともあったし。
あら、吉元さんもご一緒だったのね。
ごめんなさい、気づかなくって。
で?
こちらの方は?
莉栖花ちゃんの彼氏?」
さやかさんは藍人くんに視線を送り、私の反応を楽しんでいるかのようだ。私が必死で頭を振り否定するものだから、藍人くんはみるみる落胆していった。
ほら、子リスの友達の……あの子。
あの猫みたいね」
と、華子さんは飲み終わったコップを返却口に戻しながら言った。
「猫?
猫ってみゅーのことですか?
なんでみゅーが猫なんです?」
「うちで昔飼ってた猫がさ、みゅーみゅーよく鳴く猫だったのよ。
それ思い出してね」
「へー。
じゃあ、みゅーも猫じゃなくてわたしみたいに子猫って呼べばいいのに」
私の指摘に、華子さんは不敵な笑いを浮かべて答えた。
「あの子はね、子猫って玉じゃないわよ。
猫……大猫よ。
あるいはタヌキかもね。
まっ、いいじゃない。
子リスと猫なんて昔話みたいでさ」
そんな昔話あったかな……と首をひねって考えたが思いつかない。その時、パタパタと足音が近づいてきた。
その足音は食堂の前でぴたりと止まり一瞬、間をおく。食堂のドアが開け放たると、そこには1カ月前と変わらない美しさのさやかさんが、満面の笑みで立っていた。
「莉栖花ちゃん、来てくれたのね」
挨拶しようと立ちあがりかけた私の動きを、椅子のバタンと倒れる音が止めた。見ると藍人くんがひどく動揺して立ちあがり、さやかさんを指差している。
「えっ?
えぇぇー?!
莉栖花さんの知り合いって……
えぇーー?!!」
さやかさんがいくら美人だからってリアクション大きすぎだよ……と、ちょっぴりジェラシーをこめて藍人くんに冷たい視線を送り
「さやかさん、お久しぶりです」
と頭を下げた。
さやかさんは心からホッとしたように私を見た。
「でも、よかったわ、来てくれて。
会いたかったのよ。
色々説明したいこともあったし。
あら、吉元さんもご一緒だったのね。
ごめんなさい、気づかなくって。
で?
こちらの方は?
莉栖花ちゃんの彼氏?」
さやかさんは藍人くんに視線を送り、私の反応を楽しんでいるかのようだ。私が必死で頭を振り否定するものだから、藍人くんはみるみる落胆していった。