カリス姫の夏
その時私の脳裏にみゅーの話が蘇った。

『芸能人がリプ返してくれたら、私のツイッターに興味を持つ人が現れて……』


「ああ、そうか。
そうなんだ。
分かった。
分かったよ。

こんな普通の高校生が、さやかさんという有名人を通したことでオフィシャルになったんだ。

そうだよね、ツイッターだって動画だって、別にロックかけてるわけじゃないんだし、誰が見たって……世界中の誰かが見たって不思議はないんだよね。

藍人くんがわたしのツイッターを知ったように、みゅーのツイッターを友達が見て怒ったように、いつどこで誰が見てるかなんて分からない。
何をきっかけで急に注目されるかなんて分かんないんだよね。

そんなこと、何年もネットばっかしてて当然知ってたはずなのに。
わたし何年間も何してたんだろう。
バカだね、本当に。
全然何にも分からなかったんだ」


心からの反省に落ち込む私を気遣って、さやかさんは優しい言葉を語りかけた。


「ううん、莉栖花ちゃん。
莉栖花ちゃんが悪いわけじゃないのよ。
私が軽率だったの。
こうなること予測して行動すればよかったんだけど、ここまでなるとは思わなくって。
ごめんなさいね。

本当はもっと早く説明したかったんだけど。
こんな状況だからネットを使って話できないし、個人のアドレスとかは知らないし……

直接会いたいとも思ってたんだけど……
ここの先生はね、病状も落ちついてるから何日かなら外泊してもいいって言ってくれたんだけど……
なんか、こう、ここから出る勇気が無いっていうか……
もう少し、ここで守られたいっていうか……」



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