映画みたいな恋をしよう
小柄な身体に合わない大きな胸が恋しくて、そっと服の下から生温かい肌を求めて手を伸ばす。
下腹部をピッタリ密着させ、彼女のブラと肌の隙間に入り込み、しっとりと吸いつくような乳房に気分も上がる。

「あ……」
小さな反応にそそられた。

甘い唇を味わい
胸の頂点を指で味わっていると……。

「続きはwebで」
彼女は明るい声を出して俺を突き飛ばし、カーヴィーダンスの続きをしながら台所へと歩き出す。

こっちをその気にさせておいて放置。

気の向くまま。
猫の飼い主は猫のよう
振り回される俺。

猫の隣に腰を下ろし、嫌そうな顔をする猫を撫でながら、溜め息をひとつ。

溜め息は環境に悪いらしい。


昼ごはんはカップめん。

気まぐれ優香ちゃんは
実に気まぐれ
朝からカツを揚げる日もあれば
こんな日もある。

ロシアンルーレットな食事。

カップめんをすすり
テレビを見ていると

『映画みたいな恋でした』と、どこぞの女優さんが画面の中でうっとりと言い、隣で彼女は麺を吹き出し、猫がにゃーと声を出す。

「映画みたいな恋って……エイリアンとかバタリアンとか?」

「その発想は違うだろう」

「だって、どんな映画かわかんないよ」

「恋愛映画じゃない?」

「意外な出会いで、キャメロン・ディアスがボクサーパンツはいてウロウロしている設定?」

「まぁそれもアリかな」

「ないわぁー!」
優香はケラケラ笑い、猫の喉をゴロゴロと撫で、猫は目を閉じ幸せそう。

「私とコウさんみたいなのも、映画みたいな恋かなぁ。なーんて恥ずかしいね」

クルクルと表情が変わり
元気で明るく
個性的でマイペース。

5つ下の優香との出会いは

本当に映画見たいな始まりだった。


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