映画みたいな恋をしよう
彼女は自分の事を語らない。
だから俺も聞かない。
「心配してくれる人もいないし」
荷物を持ってここに来た日。
彼女は俺の両親の仏壇に「お邪魔します」と、自分の親の位牌を入れ手を合わせた。
「もう誰もいないんだ」
猫を抱き
寂しそうに彼女は笑う。
だからそのまま
優香と猫と一緒に過ごす。
ひとりと一匹の存在が
胸の奥で大きくなるのが怖かった。
カップめんを食べ終わり
互いに煙草を取り出して
食後の一本を、深く肺に入れる。
「また煙草上がるよね。それでもこの食後の一本は止められないんだよねー」
健康なんてクソ喰らえ……そう言いながら、優香は俺に青汁を飲ませる。身体にいいらしい。
名残惜しく吸い終わったら「さっきの続き」と優香が俺の身体に突進。
テーブルを手で追いやり
猫がいつもの事かと目を閉じた。
「コウさん」
「何?」
「大好き」
本当だ
キスしても煙草の味がする。
そうだね害はないだろう。
二本目を味わってる気分
そして
彼女を味わう。