映画みたいな恋をしよう
そんな日を流れるままに過ごしていると
弟から電話が入る。
『兄貴?』
甘ったれた声は変わらない。
親が早死にし
唯一の肉親である弟。
でもこの弟は
人の事は言えないけれど
親と俺の意見も聞かず
夢ばかり追って
現実を見ようとしなかった。
ろくでもない人生を歩き
こいつのおかげで
俺の人生の半分は終わった。
「切るぞ」
『チョー待って!あのさぁお金貸して』
携帯片手につい舌打ちが出る。
「どの口ほざいて言ってんだ?お前に貸す金はない、むしろ返せ責任とれ。お前どこにいるんだよ!」
『それはないでしょう』
「こっちだって色々考えてんだ。切るぞ」
『そこの家を売って、俺と兄貴で半分しよう』
まともな会話にならない。
俺は頭を押さえ
本気で切ろうとしていると
『兄貴、女いるんだって?』
その言葉で身体が凍る。
『調べたんだ。その女、絶対財産狙いだって。小さい店には価値はないけれど、そこの商店街、来年ショッピングモールになる計画あって、土地が高いって知ってた?』
確かに
その情報はある。
『そんな女に騙されないで、俺と兄貴で早く財産分けようぜ。家の中探してみたら、婚姻届と保険の契約書とか出て来るよ。いきなり現れたのか?借金に追われて土地付き中年男を狙ってるのがミエミエだろうが。目を覚ませよ兄貴。保険金かけて殺されてからじゃ遅いんだか……』
弟からの電話を切り
唇を噛む。