君を追いかけて。
〈…〉
やたら静かな図書室はすごく居心地が悪い。
「なぁ、お前さ、昔からそういう性格なの?」
急に質問してきたのは市川君。
何なの?いきなり。てかさ…そういう性格って何?どういう意味?
「ん―…どうだろう。あはは。」
そんな事ないし。昔はもっと明るくて、性格よかったし。
「絶対違ったよな。」
「…は?何でそんな事。」
「ほら」
「…何が?」
うわ、私大人気ない。
「俺もね…違ったんだよ」
「...え?」
「俺も…お前みたいだった。俺なんかどーせって人生中途半端に諦めてて、でもどこかでもしかしたらって期待してる…。そんな奴だったよ。」
「何それ…私そういう風に見える?」
「見える。」
「...」
「ほら、言い返せない。そうやって本当の気持ちってのを人に言えないんだ。」
「...そんな事ないし。ちゃんと言えるし。」
「へぇー。」
むっ…何なの?ほんと。
「人はさ、変われるよ。俺だって変わろうとなんかしてなかったよ?でも、親が離婚して…それから明るくなきゃダメだって気付いたんだ。」
...変われる?...そんな訳ない。
そう思ったけど、真剣な市川君の瞳は、何かを訴えてるようで...でも、どこか寂しそうな気がした。
だから、変わってみようと思った。
少しの勇気で。