君を追いかけて。
「そういえば、まだ言ってなかったね。私、上原莉子。莉子って呼んでね。」
「あ、うん。」
「遠藤さんは下の名前ななみだよね?ななみって呼んでいい?」
「うん」
「ななみってあんまり喋んないよね。嫌だったら嫌ってちゃんと言ってね。」
「あ…うん。分かった。」
「お。お前ら仲良くなったのか?テニス部どうだったんだー?」
市川君か。やっぱり優しいんだな。人の事ちゃんと見ててくれて…
そう思っているとほんのり顔が赤くなっていくのが分かった。
そこへ学級委員が来た。
確か…内村君だったかな。
「部活ごときできゃーきゃー言ってないで勉強したらどうですか?部活なんかに時間かけてたら成績ガタ落ちですよ。」
…何?この人。メガネで、一切着崩していない制服。いかにも"真面目君"キャラ。
「うっせーよ内村。お前はさっさと勉強してろよ。」
「君も勉強したらどうですか?まぁ、バカは何やってもバカですけどね。」
「はぁ!?ふざけんなよ!」
すると、市川君が内村君の胸ぐらを掴んだ。
「2人共やめなよ!」
声をあげたのは莉子だった。
それでも、2人はまだ争いをしている。
教室にどんどん戻ってきたクラスメイトは皆びっくりしている。でも、またかって顔をしている子もいる。
いつものことなのかな。…でもやめてほしいな。
「ゃ…やめてっ!」