君を追いかけて。
「でわ、新1年生は廊下に列んでくださーい。」
そう言ったのは、白髪混じりのおじさん先生。
私は言われるがままに列に入る。
その時、後ろの子に声をかけられた。
「私、神沢愛梨。…名前何て言うの?」
その子は、ちょっとお嬢様っぽい。でも、内気で引っ込み思案って感じの雰囲気かな。
「遠藤ななみ」
素っ気なく返した返事は失敗したと思った。最初なんだからもう少し愛想良くしとけばよかった…
「ななみちゃん?よろしくね。愛梨って呼んでねっ!」
「あ…うん。よろしく。はは」
しまった…笑い方忘れた。
しばらく人と話してなかった私は、人とどうやってコミュニケーションをとればいいのか分からなかった。
でもその子は、愛想笑いなんてのは気にしてないみたい。
むしろ慣れてるのかな?
疑問は残ったまま、私は体育館へと足を動かした。