君を追いかけて。
―少しの勇気―
中学校生活2日目。
今日はどんよりとした曇り。
それでも私は、もしかしたら…という少しの期待をもって学校に行った。
正直、学校がこんなに楽しみな事なんて今まで無かった。
お母さんも
「あらどうしたの?すごい楽しそうだけど。ななみがそういう顔してるの久々に見たわ。」
と言っていた。
どうせお母さんは私の事なんてこれっぽっちも考えてないくせに。
ホント都合のいい親。
教室に入ると今日は遅刻せずにちゃんと隣の子がいた。
その子は相変わらず眩しい笑顔。
…何かその子の回りだけ晴れみたい。
窓から見た空はあんなにも寂しそうなのに…この子何なんだろう…
「おはよ」
わわわわ。
「お…おはよ?」
…何で声かけてくんの?まぁ、嫌じゃなかったけどさ。
「何そんなにびっくりしてんの?お前面白いな。あはは。」
「あ、いや…別に。はは。」
「…作り笑い」
「え?」
「いや、何でもない。あ、俺、市川楓真(ふうま)よろしくな。ななみ。」
…!?
あわわわわわ。…今、ななみって言った?嘘でしょ?何勝手に。
でも、その子は気にしてないみたい…
「ん?どうした?」
「あ…いや、なな…み?」
「うん。ななみ。よろしくな?」
「あ…うん。よろしく」
…じゃないよ。
はぁ…何か…ややこしい事になりそうな予感。