【完】適者生存
【紗夏視点】
体が小刻みに震える。
なぜ・・・沙捺が・・・。
いや、当然かもしれない。
あの子は・・、私よりよっぽど頭がいい。
儀式を執り行わなかった、私を今でも恨んでるかもね・・・。
「それじゃあ、監視室へ向かおう。
あそこなら神社の監視カメラの映像を見れる。」
雅さんが提案した。
私と百合香さんもその提案に乗り、さっそく監視室へ向かった。
1つの大きなモニターに8か所の監視映像が流れている。
「・・・・・・っ!」
左下、賽銭箱の前に沙捺が現れた。
「・・・彼女、だね。」
私はうなずく。
「紗夏ちゃん、君の妹さんを悪く言う積りはないけどさ・・・
僕には彼女そのものが怪異に見える。」
雅さんは再びモニターに集中する。
沙捺は手に持っている大き目の袋に手を入れ、何かを取り出した。
口元を緩ませ、手に持っているものを監視カメラに思いっきり近づけた。
「ああああああああっ!」
まずい・・・っ!
呪人形だ!
カメラに呪人形の顔を映させる。
完全に逆手に取られた・・・!
「紗夏ちゃん!
僕は構わない!
百合香ちゃんを!」
百合香は制服のネクタイを解き、自身の首へ巻きつけた。
私はネクタイをギュッと掴んで、首を絞められないようにした。
百合香はそれでも暴れる。
私は百合香に覆い被さり、ネクタイを解く。
多少苦戦したものの、成功した。
百合香も落ち着いたようで、ゼェゼェと息をしていた。
「雅さん・・・っ。
大丈夫ですか・・?
・・・ぁ!?」
雅さんは短刀を自身の左手の甲に突き刺していた。
ドクドクと血が溢れ、苦痛に歪んだ顔をしていた。
「・・ん
僕は・・・大丈夫・・・
彼女・・・は?」
「大丈夫です。
それよりも早く手当をしないと・・・」
雅さんは大丈夫と言い、監視室の棚から救急箱を取り出した。
ガーゼを当て、手際よく包帯を巻く。
私はふと、モニターを見る。
沙捺の唇が微かに動くのが見える。
『お姉ちゃん、おいで』
微笑んでから本堂へ向かった。
・・・ここで一つ。
疑問が生じた。
なぜ私は怪異にかからない?
間違いなく私は人形の顔を直視した。
桜ちゃん母娘の時も人形の顔を直視したのにもかかわらず異変はない。
・・・今は考えても無駄か。
私はそう割り切り、監視室を出た。
「紗夏ちゃん。
行かないで。
僕が行くから。」
「・・・沙捺は、私を指名しました。
姉として、話をつけたい。
お願いです。
行かせてください。」
私は返事を聞かずとも部屋を飛び出した。
全速力で本堂に向かう。
「沙捺・・・っ!」
腰あたりまである長い黒髪を舞わせながら沙捺は振り返る。
瞳の奥には真っ直ぐとした芯がある。
長いまつげが少し不気味さを醸し出す。
朱色の着物には菊の模様。
黒色の帯。
「ふふ、姉様。
なんと久しいこと。」
沙捺は膝を少し折って会釈する。
「・・・今更っ、何なの・・・?」
「夏目の一族として、儀式を終わらせて頂戴?
・・・あら、邪魔者が2人。」
沙捺はそう言って着物の袂から3匹、黒い蝶を出した。
体が小刻みに震える。
なぜ・・・沙捺が・・・。
いや、当然かもしれない。
あの子は・・、私よりよっぽど頭がいい。
儀式を執り行わなかった、私を今でも恨んでるかもね・・・。
「それじゃあ、監視室へ向かおう。
あそこなら神社の監視カメラの映像を見れる。」
雅さんが提案した。
私と百合香さんもその提案に乗り、さっそく監視室へ向かった。
1つの大きなモニターに8か所の監視映像が流れている。
「・・・・・・っ!」
左下、賽銭箱の前に沙捺が現れた。
「・・・彼女、だね。」
私はうなずく。
「紗夏ちゃん、君の妹さんを悪く言う積りはないけどさ・・・
僕には彼女そのものが怪異に見える。」
雅さんは再びモニターに集中する。
沙捺は手に持っている大き目の袋に手を入れ、何かを取り出した。
口元を緩ませ、手に持っているものを監視カメラに思いっきり近づけた。
「ああああああああっ!」
まずい・・・っ!
呪人形だ!
カメラに呪人形の顔を映させる。
完全に逆手に取られた・・・!
「紗夏ちゃん!
僕は構わない!
百合香ちゃんを!」
百合香は制服のネクタイを解き、自身の首へ巻きつけた。
私はネクタイをギュッと掴んで、首を絞められないようにした。
百合香はそれでも暴れる。
私は百合香に覆い被さり、ネクタイを解く。
多少苦戦したものの、成功した。
百合香も落ち着いたようで、ゼェゼェと息をしていた。
「雅さん・・・っ。
大丈夫ですか・・?
・・・ぁ!?」
雅さんは短刀を自身の左手の甲に突き刺していた。
ドクドクと血が溢れ、苦痛に歪んだ顔をしていた。
「・・ん
僕は・・・大丈夫・・・
彼女・・・は?」
「大丈夫です。
それよりも早く手当をしないと・・・」
雅さんは大丈夫と言い、監視室の棚から救急箱を取り出した。
ガーゼを当て、手際よく包帯を巻く。
私はふと、モニターを見る。
沙捺の唇が微かに動くのが見える。
『お姉ちゃん、おいで』
微笑んでから本堂へ向かった。
・・・ここで一つ。
疑問が生じた。
なぜ私は怪異にかからない?
間違いなく私は人形の顔を直視した。
桜ちゃん母娘の時も人形の顔を直視したのにもかかわらず異変はない。
・・・今は考えても無駄か。
私はそう割り切り、監視室を出た。
「紗夏ちゃん。
行かないで。
僕が行くから。」
「・・・沙捺は、私を指名しました。
姉として、話をつけたい。
お願いです。
行かせてください。」
私は返事を聞かずとも部屋を飛び出した。
全速力で本堂に向かう。
「沙捺・・・っ!」
腰あたりまである長い黒髪を舞わせながら沙捺は振り返る。
瞳の奥には真っ直ぐとした芯がある。
長いまつげが少し不気味さを醸し出す。
朱色の着物には菊の模様。
黒色の帯。
「ふふ、姉様。
なんと久しいこと。」
沙捺は膝を少し折って会釈する。
「・・・今更っ、何なの・・・?」
「夏目の一族として、儀式を終わらせて頂戴?
・・・あら、邪魔者が2人。」
沙捺はそう言って着物の袂から3匹、黒い蝶を出した。