【完】適者生存
夏目沙捺
私は急ぎ足で神社の宿舎へ戻った。
「ああ、紗夏ちゃん。
あの人形のことなんだけどね・・・。
鎮守の森の例の大木の傍にある岩の裏に埋めておいたからね。
間違っても掘り起こさないようにね?」
「やっぱりあれ、怪異なんですか?」
「ああ、そうだね。
彼女ら母娘はもう、感化されている。」
「カンカ?
なんですか、それは。」
「うーん・・・・。
そうだ、アナフィラキシーショックは知ってるかい?」
「ええ、蜂のアレルギーですよね。
一度刺されたことによって抗体が出来、二度目刺されると抗体が異常に反応してショック状態になるってやつですよね。」
「うん、それじゃ、その蜂を怪異に置き換えてみようか。」
「えっと、つまり。
一度怪異に遭ったことで、いわゆる抗体みたいなのが出来て、二度目に遭うと抵抗できない、と?」
「うん、もっとも、彼女ら母娘の場合。
紗夏ちゃんが止めなければ首をつって死んでいたからね。」
恐ろしいことを笑顔で言う雅さん。
私は苦笑いでしか返せなかった。
素早く鍋の準備をした雅さんと私は2人で鍋を囲むことに。
「頂きます。」
私は豆腐をポン酢に浸け、一口一口味わって食べる。
「うん、美味しい。
やっぱり、湯豆腐は最高ですね。」
「うん、そうだね。」
雅さんは短く返事をする。
30分ほどかけ、湯豆腐を食べ終わった私たちは鍋を片付け、寝床に就くことに。
「おやすみなさい。」
「おやすみなさい。」
私は布団に潜り、寝たふりをした。
雅さんの寝息が宿舎から微かに聞こえる。
私はそっと、抜け出して倉庫からスコップを取り出した。
鎮守の森の大木、その近くにある岩の裏。
そこに埋めているといっていた。
私は参道を忍び足で進み、鎮守の森へ入った。
しばらく進み、もうすぐ例の大木につくというところで私はスコップを手放してしまった。
大木のそばにある岩の上に雅さんが座っていた。
「み・・・やびさん・・・」
「紗夏ちゃん、様子がおかしいと思ったよ。
だんまり黙り込んじゃって。
僕でよければ、聞こうか?」
雅さんが子を諭すように言う。
その声に私はボロボロと涙がこぼれてしまった。
巫女服の袂で涙を拭う。
「おいで、話なら聞くよ。」
私は雅さんの隣に座り、事情を話した。
「・・・そういうことか。」
「ああ、紗夏ちゃん。
あの人形のことなんだけどね・・・。
鎮守の森の例の大木の傍にある岩の裏に埋めておいたからね。
間違っても掘り起こさないようにね?」
「やっぱりあれ、怪異なんですか?」
「ああ、そうだね。
彼女ら母娘はもう、感化されている。」
「カンカ?
なんですか、それは。」
「うーん・・・・。
そうだ、アナフィラキシーショックは知ってるかい?」
「ええ、蜂のアレルギーですよね。
一度刺されたことによって抗体が出来、二度目刺されると抗体が異常に反応してショック状態になるってやつですよね。」
「うん、それじゃ、その蜂を怪異に置き換えてみようか。」
「えっと、つまり。
一度怪異に遭ったことで、いわゆる抗体みたいなのが出来て、二度目に遭うと抵抗できない、と?」
「うん、もっとも、彼女ら母娘の場合。
紗夏ちゃんが止めなければ首をつって死んでいたからね。」
恐ろしいことを笑顔で言う雅さん。
私は苦笑いでしか返せなかった。
素早く鍋の準備をした雅さんと私は2人で鍋を囲むことに。
「頂きます。」
私は豆腐をポン酢に浸け、一口一口味わって食べる。
「うん、美味しい。
やっぱり、湯豆腐は最高ですね。」
「うん、そうだね。」
雅さんは短く返事をする。
30分ほどかけ、湯豆腐を食べ終わった私たちは鍋を片付け、寝床に就くことに。
「おやすみなさい。」
「おやすみなさい。」
私は布団に潜り、寝たふりをした。
雅さんの寝息が宿舎から微かに聞こえる。
私はそっと、抜け出して倉庫からスコップを取り出した。
鎮守の森の大木、その近くにある岩の裏。
そこに埋めているといっていた。
私は参道を忍び足で進み、鎮守の森へ入った。
しばらく進み、もうすぐ例の大木につくというところで私はスコップを手放してしまった。
大木のそばにある岩の上に雅さんが座っていた。
「み・・・やびさん・・・」
「紗夏ちゃん、様子がおかしいと思ったよ。
だんまり黙り込んじゃって。
僕でよければ、聞こうか?」
雅さんが子を諭すように言う。
その声に私はボロボロと涙がこぼれてしまった。
巫女服の袂で涙を拭う。
「おいで、話なら聞くよ。」
私は雅さんの隣に座り、事情を話した。
「・・・そういうことか。」