敵恋カンケイ。~双雷VS神亀~
「……っ、蒼くん…!ふ、ふえぇぇん!グス…」
蒼くんの胸の中で泣き喚いたいちごちゃんは、純粋に片思いしていた幼い女の子のようだった。…ううん、実際にそうだったんだ。
「ごめんね、望空ちゃん。いちごが…」
申し訳なさそうにあたしに謝ってきたのは、透也くんだった。
「ううん。あたしは大丈夫だよぉ。……ちょっと恐かったけど。ヘヘッ」
「まさかいちごがこんなこと考えてるなんて知らなくて…」
「気にしないでぇ。悪いのは、きっと誰のせいでもない。
好き、っていう愛情のせいだから―――――」
きっとそう、だよね?
「―――でも、あいつのことは許さない。作戦が失敗に終わったからって、安心なんかしないでよね…」
あたしに鋭い視線を送りながら誰にも聞こえないようなくらいの声の大きさで呟いたいちごちゃんに、あたしは気づけなかった。