マジで恋した5秒後
平野先輩のその言葉は、
私を慰めているのか…もしくは辱めているのか…
取りあえず、平野先輩に恥ずかしい印象しか与えていない事はわかった。
「先輩。
取りあえず職員室を出たら、
手洗いうがいをきちんとして、
職員室での出来事は綺麗さっぱり忘れてください」
項垂れながら平野先輩に言う私。
だって、嫌じゃないか。
『恋の香り』とか冒頭から語ってた人物に『馬鹿な子』なんて思われるなんて。
誰だって恋を予感した相手には良く思われたい。
恋を予感って言っても一方的ですけどねー。
またクスクス笑う先輩は、
『斉藤さんって面白い人ー』なんて言う。
『面白い人』には比喩表現もある。
『愉快な人』とか『笑わせる天性がある人』ならまだ良い、
中には『馬鹿な人』だったり『自分の周りでは見かけない部類の可笑しな人』だったりするから厄介だ。
多分、先輩の言うのは後の方なのだろう。
頭のいい先輩は、それを私を傷つけない言葉で収めてくれている。