マジで恋した5秒後
「だーかーらー、大丈夫だって」
ケータイを耳に当て、通学路を歩きながら電話をする私。
相手は私の好きな人。
『大丈夫だってって、お前チョロチョロしてるから心配なの』
耳に聞こえる平野先輩の声は、
いつもの優しさが無く、ちょっとピリ辛な声。
「そんな、うちの学校の殆どが私と平野先輩が付き合ってるの知ってるし、
私に告白するような変わり者いないし!」
先輩が朝から電話してきた理由は、
最近ずっと言い合いになっている話題。
『あのね、今までみたいに俺が隣に居る訳じゃないから、
調子に乗る男だっているかもしれないの』
どうやら彼は、私に他の男子が告白しないかとか寄り付かないかとか心配しているらしい。
そんなのこの平凡な顔を見れば有り得ないのがわかるだろうに、
平野先輩はあり得ない心配ばかりしているのだ。
こないだなんて、私のセーラー服のスカートをチラッと見て『短い』とか言ってブスッとした顔になったし……
スカートの長さとか先輩に出会った時から…言うなら入学してからずっと変えてないからね。