マジで恋した5秒後



一年間、同じ学校に居た時にはしなかった心配をするのは、

彼が大学生になり私がまだ高校生で、学校の様子がわからないからだろう。




それにしても、先輩が卒業して1か月。

何が変わるでもないのに先輩はこんなに心配をする。




「平野先輩。

私だって、先輩が綺麗なお姉さんに心変わりしないか心配なんだよ。


サークルとか飲み会とか…これから誘われる機会が増えるかと思うと、
やっぱり高校生より同じ大学生のが良いのかなとか思っちゃうんだよ?」






心配しているのは先輩だけじゃない。


先輩だって『そんな大学生になったからって』って思っているかもしれないけど、


私だって先輩が目の届かないところに居るのが心配なんだ。





「時々心配が募って、野原の授業中に窓を開けて『せんぱーい』って叫んでます」


私が昨日やって、放課後野原に散々怒られた事を暴露すれば、

電話先で先輩はクスクスと笑う。





『―斉藤さんってやっぱり面白い人―』


あの時みたいに…お互いを好きになったあの日みたいに、


先輩は私を『面白い人』と言って笑う。







 
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