マジで恋した5秒後
「あん?なんだそのお隣のおばさんみたいな態度は…」
「失礼な!10代のピチピチギャルに失礼な!」
「ピチピチギャルとか死語ですな…」
「まあ良いや。
あの女教師の前に居るのって誰?」
どうやら私と野原が話し出すと話が脱線する傾向にあるらしい。
短編なのに話が進まず困ったものだ。
くいっと親指でそちらの方向を指せば、
どうでも良いような顔をしていた野原が『ああ』と声を上げる。
「平野じゃん。
ってお前、自分の学校の生徒会長の顔くらい覚えとけよ…
お前より1個先輩で、
お前より数百倍頭が良くて、
お前より千億倍性格が良い平野ね」
何故だろう。
この人は私の学校の教師であり、
私のクラスの担任であり、
私よりもずっと年上であり、
尊敬しなければならないような人のはずなのに…
さっきから野原が言葉を発するたびに私の眉はピクピク動いているぞ。
って、生徒会長だったのか。
道理で見た事ある顔な訳だ。
ジッと、主に頭を心配そうに見てくる野原。
私はそれにまたピクッと眉を動かして…
「ああ、うん。知ってたし。やっぱりね~」
ちょっと底辺を足掻いてみた。