手に入れたいのはお前だけ。
バシャッ
すぐそこまで夏が近づいたからといって、水浴びにはまだ早いんじゃないかな……。
あまりの衝撃に、そんなことを考えた。
だって今あたし、頭から水かけられてるよね……?
髪の毛を伝ってぽたぽたとこぼれた水滴が、廊下を濡らしていく。
目の前には、知らない女の子がひとり。
手にはーーー花の刺さっていない花瓶を持っている。
「ごめんなさい、大丈夫?」
なんでもなかったかのように、女の子はそう言った。