手に入れたいのはお前だけ。



「み、深高く……」



「…………千澄」



名前を呼ばれて、心臓がはねた。



黙ってみても、聞こえてくるのは寝息だけ。



……………寝言か。



抱きしめられていたら、あたたかくて。
なんだか眠たくなってしまった。



寝ちゃだめなんだよ。わかってる。



わかってるんだけどーーー……。



深高くんがあたしを抱きしめたまま寝返りをうって、綺麗な顔があたしの横にある。



ああ、あたし深高くんのこと本当に大好きなんだなーーー……。



そんなことを考えながら、静かに目を閉じた。



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