手に入れたいのはお前だけ。
初恋の誘惑
【 由side 】
「お前、千澄ちゃんのことどう思ってんの?」
屋上で寝っ転がっていた俺を見つけた奏太が、唐突にそう言った。
奏太が俺の顔を覗き込むもんだから、さっきまで程よく当たっていた太陽が当たらなくなった。
「……なんでそんなこと聞くわけ」
お前には関係ないだろ、俺たちのことなんて。
そう思ったけど、口には出さなかった。
茂木奏太という男は、自分の興味のためだけに質問するようなそういうやつじゃない。
それが会話のきっかけにつながることを、ちゃんと知っているから言うのだ。