手に入れたいのはお前だけ。
「いじめられても……?」
「千澄ちゃん、あの日女の子に水かけられてたよ」
「は?」
なんだよそれ。どういうことだ?
あいつ、そんなことされてたのか?
俺にはそんなこと一言も……。
「あの子のことだから、由にはなにも言ってないんじゃないの」
「…………」
「そういうところがまたいいよねえ」
奏太には、こういうところがある。
自分だけわかっていて、忠告をしないところ。
振り回されて困るのは、俺みたいなまわりの人間。