手に入れたいのはお前だけ。
う゛ーどうしよう、泣きそう。
と、とにかく解かなきゃ……!
涙を堪えて黒板に向き直った、そのとき。
カツカツカツ――。
長い腕が伸びてきて、黒板にスラスラと数字が書かれていく。
え、なんで?
ポカンとその光景を見ていると、その人物がチョークを置いて先生の方に向き直っていた。
「おい深高、なんでお前が――」
「すみません先生。あまりにも簡単な問題だったので、時間をとる必要もないと思いまして」
キッパリとそう言う深高くんに、みんなもあたしもあ然。