手に入れたいのはお前だけ。
「千澄、帰るぞ」
それから少しして、勉強の区切りがついたのか由くんがカバンを持ってあたしのほうを見ていた。
「あ、うん。えっと……」
その隣には、忽那さん。
もしかして一緒に帰るとか……?
「じゃあ、わたしはこれで」
チラッと忽那さんを見ると、またねと笑顔で教室を出て行った。
……よかった、一緒に帰るんじゃなかったんだ。
今日はとっくに茂木くんは帰ってしまって、教室にはあたしと由くんのふたりだけ。
やっと……。