手に入れたいのはお前だけ。



「千澄、どうかした?」



歩いていても、考えてしまうのは忽那さんのこと。



ボーッとしていたらしく、由くんが不思議そうにあたしを見ていた。



い、いけないいけない!
あたしボーッとしてた!



「あ、勉強のこと考えてて……」



「よくがんばってるもんな」



考えを読み取られたくなくて、とっさについてしまったウソ。



ウソをついてしまったことに罪悪感を覚えながらも、あたしは笑顔を作る。



だめだ、あたしが取り乱したりしちゃ。
あたしは由くんの彼女なんだから。



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