手に入れたいのはお前だけ。



「本当にお人好しだよね、千澄ちゃん」



はあ、と呆れたようにため息をつく茂木くん。



「あの美人におされて、由の隣にいることにオッケーしちゃったんだ」



本当にバカだねえと付け足された。



朝から元気のなかったあたしは、当たり前のように茂木くんに捕まって。



事情を話したらこれだもん。



でも仕方ないよね、本当のこと。
あたしはお人好しのバカです……。



「なんで自分の気持ちを言わないの」



「それは……っ」



言おうとして、やめた。





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