手に入れたいのはお前だけ。
【 由side 】
最近俺の隣に、面倒な女がひとりいる。
「深高くん、よかったらこれどうぞ」
忽那薔子は、そう言って綺麗にラッピングしていた袋から手作りらしいクッキーを覗かせた。
俺はどうも、こいつのことが気に入らない。
「……勉強教えてほしいんじゃないの?」
そんなに困っているのかと引き受けたのはいいけど、いざ勉強を始めようとすると忽那はクッキーを取り出した。
「勉強って糖分が必要でしょ?糖分摂取だよ」
自分の考えを変える気はないらしい。
俺にクッキーを差し出す姿勢を変えようとしない。