手に入れたいのはお前だけ。
「何をしても勝てないの?」
「あんたがそのままでいる限りはね」
「じゃああたしがありのままのあたしになったら、まだ望みはある?」
あまり好きな言いまわしではなかったけど、
ああそうだな、と頷いた。
「じゃああたし、もうこんないい子するのやめるわ」
「え?」
「正直みんなにいい顔するのも、お手入れするのも疲れるの。やめたいと思ってたとこだから」
それだけ言うと、忽那は綺麗な髪をかきあげて、そのままひとつに結んだ。