手に入れたいのはお前だけ。




「千澄、次じゃない?」



気づけばもう美喜ちゃんはテントに戻ってきていて、あたしを急かす。



「え、も、もう?」



はやくない?あたし
もっともっと先だと思ってたのに……!



あたしたちの学校の体育祭は変わっていて、午前中に全競技を終わらせてしまうんだ。



「じゃ、じゃあ行ってくる」



「頑張っといで。あたし敵陣地のテントで応援してるから」



白いハチマキを振りながら、笑顔の美喜ちゃん。



ああ、なんだか胃が痛くなっちゃった。



頭もぐるぐるする。
大丈夫かな、100メートル走。



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