手に入れたいのはお前だけ。



「赤ずきんちゃん」



「………へ?」



赤ずきんちゃん?
借り物が、赤ずきんちゃん?



びっくりして由くんを見ても、由くんは表情ひとつ変えない。



あたしの頭の中はハテナでいっぱい。
だってだってだって。



「なんで、あたし……?」



まず借り物競争のお題が赤ずきんちゃんっていうのも変だし。



それであたしを連れてゴールまで行く由くんだっておかしいでしょ……。



「俺が、オオカミだから」



再び耳元で囁かれて、ゾワッと鳥肌が立った。




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