手に入れたいのはお前だけ。



由くんを見たら、怪しい顔で笑ってる。



たらりと変な汗が背中を流れる。



これは……なんだか危ない香りがしない?



あたし逃げたほうがよくないかな?




「あ、えっと、それは……」



「食べられたいんだろ、赤ずきんちゃん」



そう言う由くんはなんだかセクシーで、魅力的で。思わずうんと頷きそうになった。



だめだめだめ。誘惑に負けちゃだめ!



「逃げます!オオカミから!!」



そのままダッシュしたら、由くんが追いかけてきた。



なんでもないこの瞬間が、あたしの幸せ。



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