手に入れたいのはお前だけ。
だけど今日の千澄は、なんだかいつもと違って元気がないみたいに見える。
笑顔も、そんなに輝いてない。
……何かあったのか?
千澄はときに繊細なところがあるから、こわれものを扱うみたいに丁寧に接しなきゃいけない。
「千澄」
「なあに?」
「元気ないよ」
そう言って頭を撫でたら、千澄の大きな瞳から涙がこぼれた。
「……どうした?」
千澄が泣くなんて、何か事情があるからだ。
わかっているから、優しくなだめるように言う。