手に入れたいのはお前だけ。



「千澄」



名前を呼ばれて、顔を上げる。



鼻までグレーのマフラーを巻いて、黒のコートを着た由くんがあたしの前に立っていた。



「由くん!」



あたしは勢いよく立ち上がって、思わず由くんに抱きついた。



「……千澄?」



「あ、会いたかった!」



普段こんなこと言えないけど、今日くらい素直に言ってもいいよね?



「ん、俺も」



由くんが抱きしめてくれて、あたしもぎゅーと抱きついた。



……し、幸せすぎる!!



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