手に入れたいのはお前だけ。



あたしの言葉に一瞬止まったあと
深高くんはあたしを見た。


「……いや、別になにも」



「そうなんだ。あたしもだよ。運動は苦手」



苦手っていうか、何かしらしでかすから。
小さいときからそうだった。


不幸体質っていうのかな。



何かをやると毎回周りを巻き込む大ごとになる。



「がんばってる姿、いいと思うけど。」



「え?」



「俺は千澄が体育でがんばってる姿、好きだよ」



好きだよ。



初めて言われた言葉に、胸が勝手に暴れだす。




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