手に入れたいのはお前だけ。
静かにそう言って、深高くんは
あたしの隣に座った。
待ち合わせ場所は、あたしたちの教室から
同じ階の角にある、誰も使っていない
空き教室に変わった。
「今日も外見てたの?」
「うん。うまいんだよ、
陸上部のハイジャンプ」
あたしはさっきまで見ていたことを
深高くんに話す。
そんなあたしを、深高くんは
いつも笑顔で見ていてくれる。
それがなんだかこしょばゆくて
でも嬉しい気持ちでいっぱいだった。
「ほら、深高くんも見てーーー……」
そう言って深高くんのほうを見ると
気づけばあたしは腕の中にいた。