舞う風のように
第一幕
朱き誓い
夜の二時。
全ての生き物が寝静まる、丑三つ時。
そんな時間帯に、突如ガラガラと道場の門を開ける音が響いた。
ハッとして、布団から体をおこした。
…こんな時間に一体誰が?
横で寝る父と兄も起きたのが分かった。
「父上、どうしますか?」
兄が小声で問いかける。
父が気配を消して立ち上がった。
その手には刀を掴んでいる。
「私が見てくるから、お前達は気配を消して待っていなさい。
…間違っても出て来たりはしないように。」
静かに襖を開けた父。
なんとなく、もう父には会えない。
そんな気がして不安になった。
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