舞う風のように
平助以外の突き刺さるようなあの視線。殺気。
余所者を簡単には信じない。まるで野生の獣のようだ。
だけど、まぁ…
(その方が、容保様は安心なされるだろうし信用も出来る。)
いくら小野寺が言ったところで、由紀はあの時池田屋に居た。
その事実は変わらない。
信用を勝ち取るには困難を極めるだろう。
そう考えると、山崎は由紀の監視が目的で自分の部屋へ招いたのかもしれない。
一人、部屋の布団に転がりながら天井を眺める。
山崎は監察の仕事で既に部屋を留守にしていた。
「…容保様。今のところ所新選組は信用に足らなくはない集団でございます。」
ですが、俺には集団というものは合いません。
俺には、個人行動が向いている。
それに由紀には…やらなければならない事がある。
「あの男を探さなければ。」