舞う風のように
京
京は驚く事ばかりだ。
甘味所で団子を頬張りながら思いに耽る。
俺、風見 由紀。別名佐上 八尋は、今日江戸からここ、京へと辿り着いた。
長い旅だった。
たくさんの山賊を脅して金を奪い、生活費に当てる…
山賊なら罰は受けないと思ったし、そもそもあっちは犯罪者だ。
奉行所に報告される事も無いだろう。
そうして辿り着いた京。
まず驚いたのはやっぱりこの華やかな雰囲気かな。
治安が悪いとされる京とは思えないほどの明るさだ。
甘味所の娘が出しに来てくれたお茶を飲む。
ほうっと溜息を吐くと空を見上げた。
…兄さん、貴方は今もこの空の何処かで俺を見守ってくれているのだろうか。