俺だけのモデル
「これ、嫌い」
空気が凍る……
うぅ……
ヒカリなんてことを……
俺のデザインけなすのは十分いいよ。
だけど、他人が描いたのをけなすのはマジでやめろぉ~
「あぁ、これっすか?俺もちょっとボツかな~って思ってたんすよ。ヒカリちゃんに言われてなんか断ち切れそう」
「その気持ちちょっと、分かるかも。これダメだな~とか思っててもなんだかんだで諦めきれなかったりするんだよね~」
「うんうん。やっぱり、思い入れあるしね~」
それから皆、わいわいと話し出す。
彼らが大人な対応をしてくれて、本当よかった。
ヒカリを引っ張り、俺のキャスター付きの椅子に座らせた。
何事もなかったかのようにクルクル~って回っては遊んでいる。
そろそろ、俺、キレそうなんだけど……
すると、ストンとヒカリが席から立ち上がった。
「今度はなに?」
「トイレ」
「あー。真っ直ぐ行って、突き当たりを左に行った右にある」
「はーい!」
ヒカリはトコトコっと走っていき、見えなくなるまで俺はその背中を眺めていた。