お兄ちゃんができました。
ん?

呆然としたその声に、私は小首をかしげてゆっくりと目を開ける。

そして、廊下で気絶してやがるソイツを視界に捉えた瞬間、私は頬を引きつらせた。





「ほ、ホー太……」




志月くんの視線の先。

廊下で見事気絶してやがるのは、母が数日前に拾ってきたフクロウ。その名もホー太。

ちなみにこの単純な名前は私がつけたんじゃない。

命名者は、動物には優しく私にはドSな我が母だ。

どうやら奴は、この狭い家の中を旋回中に誤ってドアに激突したらしい。

……アホか。アホなのか。この鳥は。

呆れ半分でホー太を見つめていると、今までホー太を凝視していた志月くんがぎこちない動作でこちらを振り返る。

その表情は、明らかに引きつっていた。





「え。ハル。この鳥……何?」

「……数日前に我が家にやってきたフクロウです」

「え。買ったの?」

「お母さんが拾ってきました」

「……。育ててるの?」

「…………ハイ」

「へぇ」




てめえぇぇぇぇ。ホー太あああああああ!!

志月くんドン引きじゃねぇかあああああ!!

どうして普段ドアなんかにぶつからないのに今日はぶつかってるの!?

しかも、気絶までしてるの!?

え、ちょっ、コイツ大丈夫なの!?

ま、まさか死んでないよねぇ!?






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