お兄ちゃんができました。
このフクロウめ。

動物園へ売り飛ばしてやろうか。さて、何円で売れるかなぁ?

ふふふ、と殺意丸出しで微笑む私はさながら幽鬼の如く。

周りが引いているのにも構わず、心の中で諭吉を数えながらホー汰の方へと視線をやると後頭部に鈍い衝撃がはしり、私はフローリングに顔面スライディングした。




「…………」

「…………」

「……は、ハル? 大丈夫か?」



まぁ、なんて優しいお兄様。

実の母でさえ無言で固まってるのに、優しく手を差し伸べてくれるなんて。

無言でこくりと頷き、私は志月くんの手を借りて立ち上がる。

強打ってか擦った顔が痛い。

鼻血とか出てないよね? もう出てたら一生の恥だよ。

私、もうお嫁に行けない! いや、ガチで。

じんじんと痛む顔をぺたぺたと触り、どこも血が出ていないことを確認すると私はじろりと背後を睨む。

そこにいるのはもちろん、涼しい顔して「え? 何? お前なんかよう?」って言いたげな顔したホー汰。





「……アンタ一体何が目的なのよ?」




恥か。私に恥かかせることが目的なのか。え?

私がお前に何したって言うんだ。確かに昨日、ホー汰を頭から振り落としたけど今日は何もしてないぞ!

昨日は昨日でちゃんと私の身体を傷だらけにして復讐を果たしたはずでしょう!?



「あ……」




いや、待てよ。

確か今朝、ホー汰の攻撃を恐れて部屋を出てから家を出るまでずっとシーツを被っていたことを、思いだし数回瞬きを繰り返す。

ま、まさかこれか!? これなのか!?

朝攻撃をくわえられなかったから、夕方に……復讐も兼ねてやったと?

ヤダもう。何このフクロウ。

どこまで私のこと敵視してんの。私が何やったって言うの。

頭から振り落としただけじゃない。

攻撃してくるからほうきで応戦しただけじゃない。





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