お兄ちゃんができました。
いっそのことどこぞの可愛いウサちゃんみたいに×印にガムテープをはっておこうかしら。

白いウサギを思い浮かべながらふぅとため息をついた私に、近くにきた志月くんが無言でボロボロになった私の頭を撫でる。

……わぁ。なんて優しいんだろう。

我が家に天使がやってきた。

特に振り払う理由も無いので、されるがままになっていると不思議そうに遅れてやってきた誠さんが私を見る。




「陽花ちゃん。どうしたの? そんなボロボロになって……」

「……そこの魔女と使い魔に訊いてください」

「え?」




あ、しまった。

天使やらなんやら考えてたからつい……。

無意識に口走ってしまったそれに、全身からサァッと音を立てて血の気が引いていく。

誠さんの背後。

私の目の前におられますは、冷たい笑みを浮かべた魔女と明らかに殺気を向けてくるフクロウ。

――……やべぇ。狩られる。

瞬時に悟った私は、脱兎のごとくその場から逃げだした。





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